2009年6月4日木曜日

芝居通い



ここ5年間、僕はギャラリー通いと並行して、ほぼ毎週の様に芝居を観に行っていました。つまり、昼はギャラリー、夜は芝居と言う感じです。年間の観劇数は50~60回ぐらいだと思います。昨年の暮れから今までは、ギャラリーの立ち上げで観に行っていませんが、テレビで芝居の放映があれば、必ず観ています。

芝居の良いところは、生であり、映画やテレビのように撮り直しがきかない点と劇場での一体感(臨場感)ではないかと思います。劇場といってもその規模は大、小さまざまで、大きいから良いというわけではありませんし、演ずる役者さんも、テレビや映画で活躍する方だけがすばらしいわけではありません。ブランド、企画力があっても、それが即成功につながらないのも面白いところだと思います。
2008年に観た芝居の中で、非常に感銘を受けた作品は、4月に上演された"焼肉ドラゴン"です。もう1年前になると思うととても不思議に思います。それは今でもその時の感情を、たった今見終わったかの様に思い起こせるからです。脚本は在日であり、数々の戯曲の他、映画「月はどっちに出ている」、「血と骨」の脚本でも有名な鄭義信(チョンウィシン)さんです。演ずるのは、日本と韓国の実力派の役者さんですが、多分テレビではあまりお目にかからないので、一般の方にはなじみが無いかもしれません。日本語(しかも大阪弁)と韓国語が飛び交い、韓国語の部分は字幕も出ますが、難解な芝居では決してありません。
一言で言うと、市井に生きる人々のひたむきさと家族の暖かさを、生来人間の持つ生命力とバイタリティーに託し描いた秀作です。特に素晴らしかったのは、母親役を演じた韓国人女優のコ・スヒさんでした。彼女は天才ではないかと思えるほど、自分の年齢よりはるか上であり、しかも子供が4人いる母親の心情を見事なまでに体全体で表現していました。又、カーテンコールで観客が立ち上がり、拍手を送っていたのがとても印象的でした。それは新国立劇場小劇場では今までに見たことが無い光景だったからです。
この公演はテレビでも放映され、昨年の演劇賞のいくつかを受賞しています。もし、再演があれば是非観に行きたい芝居のひとつです。

日本人にも天才的な役者さんはいらっしゃいます。
その話は又、別の機会にしたいと思います。


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