2009年6月14日日曜日

あの日の彼、あの日の彼女。

横木安良夫写真集 “あの日の彼、あの日の彼女。1967-1975”の巻末に、直木賞作家角田光代さんのショートストーリーが掲載されています。題名が、”あの日の彼 あの日の彼女” となっています。1967-1975にあった出来事をモチーフにしていて、年齢の違う5人の登場人物それぞれの想いを、青春グラフィティーのように描かれています。

モチーフになっているのは、リカちゃん人形(具体的には載っていないですが)、アポロ11号月面歩行、初めて日本に来たパンダであったりして、登場人物の感情には何故かとても共感を覚えてしまいます。
特にノストラダムス大予言の1999年地球滅亡の年に32歳になる少年とそのクラスメートとの会話の中で、世界が終わることがなんとなく想像できても、自分が32歳になることが信じられないと言うくだりがありますが、そのことはとても理解できます。僕自身と年齢が近い少年であったことと、その少年が帰宅後、そんな事も忘れ、野球をしに飛び出して行くあたりはそのままだったような気がします。

又、写真集に掲載されている作品は、写し出された人々の”あの日”ですが、それらを今見る人は、時代や場所を超越して、それぞれの”あの日”を想い起こすことが出来ると思います。、そして、これらのショートストーリーがそのエッセンスにもなっています。

最後は宣伝になってしまいますが、写真と文章とを混在させた本は、色々と出版されています。
それでも、その程よさやトータルでの完成度という点で、この写真集は秀逸だと思います。
残念ながら、現在はほとんど入手出来なくなっています。
特装版は現在当ギャラリーでのみ販売しています。
是非、この機会にお買い求め下さい。

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