2009年9月29日火曜日

「ロマンチック」 佐内正史

「つばさ」最終回の時に、写真家の佐内正史さんについてほんの少しだけ触れましたが、今日は彼が出した変わった写真集を紹介します。

上のイメージですと、大きさがつかめないかもしれませんが、いわゆる文庫サイズで出来ています。最近は、個人の趣味でフォットブックの制作が行われるようになり、ネット上での製本やラボでも作れるようになりました。これまでアルバムという形で写真を貼り付けていたものから、何かの記念や記録として、一冊の本としてまとめることが増えてきたように思います。これもデジタル化の恩恵でしょうね。
これはそんなフォトブックのような写真集とも言えます。

「ロマンチック」 著・佐内正史 朝日文庫 2006年刊行

出版社、著者のない紹介には、”いまや若者の間で絶大な人気を誇る写真家・佐内正史。特に女性を魅力的に撮ることでは定評がある佐内氏が、ごく普通の、しかしちょっとドキッとするような「可愛い娘」をモデルにつづったフォト・ストーリー。「小説トリッパー」で好評を博した連載「眼差し」を改題し、オールカラーで再構成。ポケットに入れてどこにでも連れてゆける「あなただけの彼女たち」の「プライベートア ルバム」!” とあります。

最初にこの写真集を手にして見た時に、「a girl like you~君になりたい。」の対極だなと感じました。
撮られている女性は、全て佐内さんの友達であり、素人の方々です。一枚、一枚のイメージには、何かぎこちない空気感があります。たぶん、佐内さんと女性との距離感や撮る側と撮られる側との間に起こったある種の気恥ずかしさのような感覚が、さりげない表情の中に写し出されているからだと思います。

僕はこの写真集を新宿の某大型書店で購入した後、早めの夕食を軽く取り、芝居を観にいったのですが、帰りの電車の中で取り出して見ると、数ページ進んだところで隣に座っている男性が気になって仕方ありませんでした。

ヌードやエロな部分が一切ないイメージですので、特に覗き見られても恥しいわけではないのですが、それらのイメージの多くは見られてはいけない甘い記憶のように感じられたからかもしれません。
それ以降、何度か持ち歩き、電車の中で見ようとしましたが、結果は同じでした。

そんなわけで、どこにでも連れてゆけないじゃないか、と文句を言いながら、今でもたまに部屋でこっそりと見ているのです。

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