2009年11月25日水曜日

「花の命は短くて…」

polkaよりも長い付き合いで、かれこれ12年以上生きているものが、部屋にいます。


それがこれです。



もうだいぶ痩せてしまいましたが、どこにでもあるミニチュア観葉植物です。花の名前はとんと門外漢なので不明ですが、かなりぞんざいな扱いにもめげず、葉を茂らせています。


このような植物の寿命がどれほどのものなのか、僕には全く分かりませんが、ホントよくもっているものです。ほとんど日光には当たっていないし、ときどき水を替えるくらいで、手入れもしていないまま12年以上もじっと耐え忍んでいるかのようです。

「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」

これは、「放浪記」で有名な昭和の女流作家、林芙美子さんが色紙などによく書いていた言葉ですが、著作にはそれらしい言葉はなく、解釈もいろいろとあるようです。林さんが亡くなったのが48歳、その点では自身の生涯の短さを予測していたかのようにも思えます。

井上ひさしさんの戯曲「太鼓たたいて笛吹いて」では、晩年の林さんの仕事振りを評して「緩慢な自殺」としていましたが、とても気性が激しく、真っ直ぐな、そして現代にも通ずる行動的な女性でした。また、その少々エキセントリックな行動の為、周囲でも林さんの事をよく思っていない人が多くいたと言われています。

当時の女性に対する位置づけは今とは大幅に違っていましたので、言葉に隠された意味に深いものがあると思いますが、今となってはその真意は分かりません。

毎朝目覚めると、この観葉植物が目の前にあります。何も語らず、ただそこにいる(或る)だけですが、なぜか安心します。同時に、polkaの耳障りな鳴き声を聞いてまた安心します。時折、永遠にそこにいるような錯覚を覚えますが、そうではないことも充分分かっています。

「花の命は短くて…」、…以降の言葉は、人それぞれでしょうが、短いのは花の命だけではないのだろうと、歳とともに強く感じていることは確かですね。

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