2010年3月4日木曜日

「ガス人間第1号」

「ガス人間第1号」


実に変なタイトルです。先週NHK教育で放送された芝居で、録画はしておいたのですが、なかなか見る時間がなく、ようやく昨夜見ることが出来ました。

昨年10月にシアタークリエで上演されたこの芝居は、もともとは昭和35年の東宝映画が原作になっていて、原作の熱狂的なファンである後藤ひろひとさんが脚色、演出し舞台化させたものです。

後藤ひろひとさんと言えば、周りからは大王と呼ばれ、非常にユニークなキャラクターで知られ、俳優としても脚本家としても、独特の世界観を持つ方です。一番知られている作品は、「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人」ですね。「パコの不思議な絵本」というタイトルで映画化もされましたから。

後藤さんが作る芝居のタイトルは、いつも変っているのですが、今回の「ガス人間第1号」もそれを聞いただけでは何なのか良く分からないものです。でも、今回は後藤さんが付けたタイトルではありませんので、その当時の映画タイトルのストレートな言い回しというか、時代を感じさせるものですね。

物語はガス人間にされてしまった一人の男とその男が愛したヒロインとの悲恋や事件を主軸に、後藤さんらしい笑いの要素を加味しながら、とても分かりやすい展開で進みます。

出演者も後藤作品には初めての方が多く、特にヒロインを演じる中村中さんの存在感は特筆に値します。もちろん、主役であるはずのガス人間を演じた高橋一生さんの静かに抑えた演技も良かったのです(これは狙いだと思います)が、この芝居での絶対的な主役は中村中さんだったと思います。

中村中さんについては、ほとんどというか全く知りませんでした。何かの拍子にテレビで見かけたぐらいで、失礼ながら興味の対象ではありませんでした。が、この芝居で評価は一変しました。演技以前のたたずまいというか、あの若さでこの存在感を醸し出すとは、やはりただ者ではないですね。

このところ、話題性のみが先行してしまう芝居が多くあります。でも、これはそんなことを考えずに楽しめる芝居です。DVDにはならないと思いますが、機会があれば見て下さい。

そういえば、5月にPiper公演が仙台で行われるはずです。Piperは後藤さんを中心に4名のメンバーで構成されたもので、客演も加えながら活動しています。「ガス人間第1号」とは違い、いつものハチャメチャな舞台だと想像しますが、単純に笑い飛ばしたいような気分の方には最適な芝居です。ご興味があれば観に行かれて下さい。

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