2010年7月13日火曜日

昨夜放送されたサッカー・ワールドカップ総集編

サッカー・ワールドカップがスペインの優勝で終了しました。昨夜その総集編が、民放(テレビ朝日系)とNHKで放送されていました。民放は3時間、NHKが1時間半とそれぞれ特番の形になっていました。使用される映像やコメントの多くは同一のものでしたが、それぞれのらしさが前面に出ていて、その時々の感じ方は若干違った印象を持ちました。


民放は深夜時間帯に毎週行われているサッカー番組の延長線上で、試合そのものよりも個人に注目を当て、個別にコーナーを設けてそれに合うプレイや行動を選択し、観る側の分かりやすさやドラマ的な要素もいれたバラエティーの趣です。一方、NHKは、区切り区切りのゲームや各国の状況をひとつひとつのテーマで集約し、ゲームの流れの中で、実際の選手のコメントを織り込みながら、その中に隠されたドラマを炙り出していくようなやり方です。

どちらが良いのかということは、番組構成や方向性が全く違うので、比較にはなりませんが、同じ題材を用いても語り方や表現の仕方で、いかようにも変化してしまうことに面白さを感じました。構成するメンバーもタレントを揃え、本来のワールドカップ以外の面白さを期待させるやり方とアナウンサーによるナレーションのみとまるで対照的だったし、それが時間的に連続で行われたので、事前に制作の話し合いを行っていたかのような感じにも見えました。(そんなことは絶対ないと思いますが・・・。)

NHKでひとつ、映像の使い方で気になったものがありました。それはカメルーン戦での得点シーンです。もう何度となく見せられたこのシーンは、右サイドから松井選手の切り返しからのセンターリングが、中央奥で待つ本田選手へと繋がり、ゴールとなるものです。映像では試合開始から盛んに松井選手が右足でセンターリングを上げるシーンが流れます。その後、得点シーンの前に松井選手自身の切り返しに関するコメントが入ります。そして、得点シーンになるわけですが、先ず別アングルからの映像が出てきますので、はっきりと松井選手の切り返しが映っていません。それから、お決まりのアングルでのシーンが繰り返しのように流れてきます。

このシーンは見ている人のほぼ100%が知っているものです。敢えて違うアングルのシーンを先に持ってくることで、松井選手が行った切り返しに大きな意味を持たせたような印象を与えます。それは、直後に相手ディフェンダーのコメントが入ることで一層際立ちます。編集の仕方には、行う人それぞれの個性もありますが、これまである方法論や技法が必ず存在しますし、それらを駆使することで新たな個性が生まれてくるのだと思います。そういった意味では、このやり方は充分に効果的であったと感心しました。

表現や発想の可能性は無限であり、同時に創造と想像はどこかで繋がっているものだと改めて思いましたね。でも、実際それを形づけることは、とっても困難で苦しいものなのですが・・・。

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