2010年7月17日土曜日

One Quiet Night

「One Quiet Night」Pat Metheny 2003年


木戸孝子写真展で流れているアルバムです。毎回、写真展ごとにBGMのように曲を流していますが、選曲自体も僕の楽しみではあります。ただ、注意しなければならないのは、あくまでも主役は作品ですから、あまりに音そのものが奇抜であったり、そこに意識がいってしまわないようにすることです。その辺が、微妙に難しいところですね。

今回のものは、僕の大好きなミュージシャンのひとりなのですが、あまりに有名な人ですから、誰しもが知っている曲となると、興味がそっちに行ってしまう恐れがあります。そんなことを考えながら、選んだのがこのアルバムです。

これは、簡単に言えば全編ギターソロによるアルバムです。でも、使用しているギターはバリトン・ギターなので、普段のギターの音色と違っています。一見ベースのような感じがするほど、低く太い音がし、何故かとてもクラシカルな印象を受けます。パットメセニーはソロワークでもさまざまなギターを使用していますが、このバリトン・ギターの響きは彼自身にあるパッションのようなものを、静かな演奏とは裏腹にとても強烈に感じられるのです。

しかも、録音は自宅のスタジオです。スタジオの中にはマイクスタンドが一本だけだったと言います。そんなこともあり、非常にパーソナルなアルバムのような気がしますし、実際無心にギターに向かっているその姿を想像すると、パットメセニー自身の音楽やギターに対する愛着や彼の世界観といったものが一層胸に迫ってくるのです。

タイトルは、ある静かな夜、今回のイメージとも合っていると思います。お客さんのいないギャラリーで、ひとり作品に向き合いながら聞いていると、今が昼なのか夜なのかが分からなくなる時があります。独りよがりの部分はありますけど、そんな時間を皆さんにも感じて欲しいと思っています。

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