2010年8月29日日曜日

松井冬子という女性

昨夜23:30から放送されたNHK「トップランナー」を久々に見ました。今はほとんど見ることも無くなったこの番組でしたが、昨夜は画家の松井冬子さんがゲストだと偶然知り見ようと思ったのです。僕が初めて見た松井さんの作品は、これだったと思います。


いつどこで目にしたのかはあまり覚えが無いのですが、円山応挙を代表とする幽霊画しか見たことの無かった僕にとっては、構図等はそれほど変化がないのに、何故か惹かれるものでした。長く描かれた一本、一本の髪の線の柔らかさと確かに存在しているかのような力強さが印象的たったのを覚えています。


松井さんは良く言われる美貌の日本画家的な扱いをされる場合があるのですが、作品から受けるインパクト同様に実に芯のはっきりした分かりやすい女性のように見えます。東京藝術大学の大学院までいったことは知っていましたが、まさか女子美大を卒業後、4浪の末に入学していたことを、昨日初めて知りました。本人曰く、受験は精神を蝕みますと話していたように、その時は大変苦労だったと想像しますが、一方で絵や自分の夢や行動に対しての執念のようなものを感じさせます。

コンセプトは作品の一部だとも話していましたが、それは広い括りでの現代美術を意識したものだと思います。そこにはこの時代の中で、自分の描こうとする世界を忠実に、そして常に思索しながら表現していく姿勢が感じられます。また、自分自身もそうである女性しか描けないし、描かないと言い切るところにはすがすがしささえ感じます。(作品自体はそうではありませんが)

僕は日本画自体、格別好きなわけではありませんが、使用している岩絵の具の質感や表現に魅力を感じることがあります。その伝統的な技法で描かれる少し特異な、かと言って生理的に受けつけないような類のものでは無く、普遍的なものへの繋がりを否応なく感じられる松井さんの作品を見続けていきたいと思います。

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