2010年11月21日日曜日

アート性

ハービー・山口、ヨーガン・シャドバーグ写真展 Two in One in England も早いもので残り2週間となりました。本作品は1970年を境に撮影されたイギリスの人々や情景ですが、撮影された土地や環境、なにより写真家自身が見ている視線や距離感に違いがあります。その辺りは、おそらく、どなたでも気付かれるのではないかと思います。


同じ対象物を撮影したものであっても、同じものはひとつもありませんし、撮る人によりいかようにも変わってしまうのが、写真の面白いところでもあります。それが、写真家の個性や表現の多様性に繋がっていく結果として、作品性や作家性が生まれてくるのだと思います。

現在はデジタル化に伴い、その表現の幅は拡がったと考えています。ある種の人は、デジタルで制作された作品に対して、果たして本来の写真として足り得るものだろうかと疑問を持っていることは確かです。しかしながら、アート性という観点から考えると、個人的にはアナログとかデジタルといった方法、手段によるものではないと思っています。

そもそも日本では、芸術という概念が現れたのは明治以降だと言われているようですし、比較的新しい価値観であるわけで、今ではその範囲も拡散し、何が何だか分からないよねといったところが本音なのかもしれません。人は常に進化しながら(後退している部分も多くありますが)、自己のオリジナリティーを作り上げ、より良きものへ進んでいっていきたいと願っているはずです。

しかしながら、どれほど文明が発達しても、人の感情そのものは古来からあまり変わっていないようにも思えます。実際、喜怒哀楽は程度の差はあれ、どの時代でも共感可能なものとして理解出来ますからね。

だからこそ、現在の或る姿や形なりを自分なりに考え、表現していくしかないのかなとも思うわけです。その為には、過去の歴史を振り返る必要もあるだろうし、方法・手段の選択も大きな要素になってきます。重要なのは、それらは結果として生み出されるものの為の要素ではあるけれど、価値観そのものではないということです。

世の中には同じものがどれひとつ無いと言われていますが、そうでなければオリジナリティーであったり、やがてそこから生まれてくる価値といったものも感じられないのだと思います。

もっとも、それを見つけるまでが、とても辛く苦しい道のりではあるのですが・・・。

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