2010年11月23日火曜日

維新派 「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」


維新派による「台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき」が、彩の国さいたま芸術劇場で間もなく開幕されます。これは、<彼>と旅をする20世紀三部作と題され、第一部の南米篇「nostalgia」、第二部の東欧篇「呼吸機械」に続く最終作になります。


2010年7月下旬に開かれた瀬戸内国際芸術祭2010の中で、瀬戸内海・犬島で初演され、その壮大な野外ステージで繰り広げられた舞台を、劇場空間に持ち込み、新たな展開を見せてくれるのではないかと思います。

維新派の演劇・パフォーマンスを一言で語るのは非常に困難です。昨日、DVDで「nostalgia」を観たのですが、やはり、観なければ伝わらないなと改めてそう思いました。彼らの舞台では、セリフらしいものはありません。その代わりに、単語化された言葉を全編通して流れる変調子のリズムに合わせて発語されます。見ている人はたとえそれが日本語であっても、一瞬、何を言っているのか分からない時もあります。

そして、舞台上にはいつも何十人単位の役者が、同時多発的に物語に沿った踊りを繰り返します。踊り自体も独特なもので、ある時は組体操のそれを思わせ、またある時は能楽を想起させる動きにも見えます。

何より、特徴的なものは、そのほとんどを野外で、しかも設営から撤収に到るまで、全てメンバーで行っている点です。そのスケール感は見るものを圧倒し、背景にある自然をも舞台の一部としているので、その場で、その時間でしか感じられないものを表現しようとしているのです。

今回の埼玉公演は、野外でのステージをどんな形に変化させてくれるのかが楽しみのひとつです。(残念ながら、観には行けないのですが)犬島公演の際の、プロモーション映像がこちらです。

http://www.youtube.com/watch?v=xur5MaS65y4


興味がある方は、ちょっと交通の不便な彩の国さいたま芸術劇場へ足を運んでみてはいかがでしょう。宣伝のようになってしまいましたが、僕自身、維新派の舞台は、表現における演出性という点では、日本でも突出していると思っています。


観るたびに新しい刺激や発見を僕に与えてくれます。

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