2011年3月7日月曜日

牛歩のように。

このところ展示に興味を示す方や額装等の相談に見えられる方が、ぼちぼちと現れています。アート写真という聞き慣れないカテゴリーに特化した商業ギャラリーですから、一般のアマチュア写真家にとってみれば、自分とは関係の無い話のように感じられたと思います。


開設して1年は、著名なプロの作家を紹介し、写真におけるアート性について、実物をお見せすることで理解してもらおうとしてきました。有用な広報手段も見つからないまま、本当に限られた方々が、何かで知って来て下さり、展示作品を楽しんでくれたように思います。それでも、初めて来られた時に受ける印象は、敷居が高いであるとかやはり世界が違うといった感は否めず、自らの作品をここで展示することまでは考えていないように見受けられました。

そんな中、昨年の今頃初の公募展”Sha-gaku”の募集を行いました。事前にこういうことを行いたいがと、これまで来て下さっていた方に声を掛けたりしましたが、予想通り反応は鈍く、集まらない状況でした。何とかお願いし、協力を仰いで、開催までにこぎつけたのが正直なところです。それでも、”Sha-gaku”自体はおおむね好評で、決して限られた人のみが展示・発表出来るわけではないことをお見せできたと思っています。

そこから、江口さんの個展が生まれ、先月の”Sha-gaku”vol.2へと繋がり、そして参加者の繋がりが拡がりになってきている結果が少しずつ現れて来ているのでしょう。これって、たぶん僕自身のがんばりなんかではなくて、数は少ないわけですが、ちょっとずつ見る人、写真を撮られる方の意識が自発的に変化していることなんだと思います。

僕がどれほど写真の可能性や展示・発表することの意味・意義を話したところで、結局は自らの行動に委ねられてしまうものだし、実際行ってこそ初めて理解出来るものですから、その歩みはゆっくりとしたものになります。僕もその辺りは充分に頭では分かっていても、現実的に立ちはだかる壁やジレンマを感じずにはいられませんでした。僕も感情の生き物ですから。

それでも今出来ることは、数少ないそういった自発的な行動を起こそう、起こしたいと考えている方々に真摯に向き合っていくことだと自分に言い聞かせています。甘い考えであることは十分承知ですが、そこから新たな何かが生まれてくると信じているのです。

焦らず、愚直に、牛歩のように。

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