2011年12月4日日曜日

人の写真を見るということ

人の写真を見るということは楽しみと同時にとても繊細さを持って扱わなければならない作業だと思っています。多くの作品を目にしているので、慣れもありますが、それでもひとつひとつ違うわけですから、何か自分の感性や注意力を試されているようにも感じます。


これまで、何人かの作品を見る機会があり、その度に考えることは、この人はどうしてこういう写真を撮っているのだろうということです。方法や手段ではなく、これらを自分の作品として提示してくる理由のようなものと言ってもよいと思います。

大抵の場合、彼らのキャリアや知識といったバックボーンを知りませんし、それを知ったところでどうなるわけでもないから、作品そのものから受ける印象で判断せざるを得ません。それは時に間違っている場合もあり、その為、僕の一言に依って彼らが傷つきやしないかとも思います。

でも、展示会に見に来られる方々は皆そうで、何を思い、感じても自由なわけです。違っている点はそこで感じたものを自分でまとめ、考え、本人に対して口にするかどうかだけです。特に僕は写真家ではありませんから、そこに関わる技術や方法的な部分、写真家としての自分の方向性といったものもなく、目の前に出される作品だけを純粋に受け入れ、話すようにしています。

こちらの人は自分の作品を人に見せることにあまり慣れていない印象が強く、ましてや初対面の第三者に見せるなんてありえないと感じている人が多いようです。それゆえ、展示・発表という舞台は自分には縁のないようなものと思ったり、人様に見せられるようなものではないと自分で思いこんでいるふしがあります。おそらく、その行為自体、とても大変で勇気のいることなのでしょう。

でもね、個人的には何かモノを作ることの結果として、世の中に出すことが無いのであれば、それらは何の意味もないモノになってしまうと思っています。世に出す理由はさまざまで、その結果、人を陥れようとかしようものなら、それらは瞬く間に淘汰されるわけですし、出したからといって急に世の中が変わるものでもないわけで、それらを目にした数少ない方々の心に残り、心地よい感覚や何か自分を顧みられるような瞬間をを感じてもらえるだけでも良いと思うのです。

何でもそうですが、人に何かを見せる行為は、見る人たちに向かっているだけではなく、自分に対して向けられているものです。してみなければ分からない、これも良く耳にする言葉です。

さて、それをするには・・・。

だからこそ、大切に扱わなければいけないのです。



○Gallery Selection 2011

 Scene-1 2011年12月3日(土)- 12月25日(日)

      13:00-19:00(25日は17:00まで)、月曜日休み

 Scene-2 2011年12月27日(火)- 2012年1月22日(日)

      13:00-19:00、月曜日、12/31-1/4 休み

入場料 ¥300 期間中何度でも入場出来るパスポート制です。

http://kalos-gallery.com/exhibition/next_exhibition.html

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