2011年12月7日水曜日

見る側への意識

ギャラリーで展示をした方の何人かは、時々写真を見せに来てくれます。今、自分が抱えているテーマに沿ったものであったり、まだ漠然としている中で選んだものであったり、形はそれぞれです。ほとんどは、まだ自分の中でも完成されていない状態のものと言って良いと思います。また、テーマや提示されるイメージはさまざまで、同じものがあるわけではありませんが、ひとつだけ共通に感じられる事はあります。


自分が求める作品や世界を作り上げることは、常に自分へ内向きの作業を強いられ、他人には決して見えない部分です。そして、これらは全て作者の想像と創造によるもので、他者が介在することもあまりありません。とても不安で孤独な作業でもあり、逆に自分自身にとっての喜びや満足感といったものへ繋がってきます。写真を問わず、作品制作を行っている方の誰しもがこの段階まではきます。

この段階まで来た時に、それらを発表するかということになります。初めて見る側を意識し、これまでそそぎこんでいた内向きのパワーが、外向きに変わる瞬間です。そして初めて、制作とは違った不安やそれを発表する是非といったものを感じるようになったりするのです。しかも、喜びや満足感はこの時点で得られるものではありませんから、それらを推し進めるにはかなりのパワーが必要になるわけです。

話がズレていってるように思われますが、先に言った共通して感じられることとは、作品としての写真を実際に制作し、それらを選ぶ行為で、作者の中に、どこか必ず見る側への意識があると言うことです。内向きである制作のエネルギーの中に、常に外向きの意識が働いていて、瞬間的な変化ではなく、ある意味同時性を持ちながら、それら行為がなされているわけです。



誰にでも出来ることではないのかもしれませんし、もっと単純に自分が楽しければそれだけで良いのかもしれないけど、そこに価値が見出せるかと言えば、否と言わざるを得ないのです。





○Gallery Selection 2011

 Scene-1 2011年12月3日(土)- 12月25日(日)

      13:00-19:00(25日は17:00まで)、月曜日休み

 Scene-2 2011年12月27日(火)- 2012年1月22日(日)

      13:00-19:00、月曜日、12/31-1/4 休み

入場料 ¥300 期間中何度でも入場出来るパスポート制です。

http://kalos-gallery.com/exhibition/current_exhibition.html

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